ALPINA

Motor Sports
モータースポーツ

ALPINA – モーター・レーシングの伝説 1968~2014

1968

サクセス・ストーリーの始まり

ALPINA社にとって、モータースポーツとの関わり合いは伝統であり、決して切り離せない歴史の一部となっています。実際、創立直後には既にモータースポーツ活動を開始しています。

モーター・レーシングにおけるALPINA車の目覚ましい活躍の基礎は、ツーリング・カー・レースに出場した創業者のブルカルト・ボーフェンジーペンによって印象づけられました。そして今日までに、デレク・ベル、ハラルド・エルトゥル、ジェームズ・ハント、ジャッキー・イクス、ニキ・ラウダ、ブライアン・ムール、ハンス・シュトゥック、ディーター・クエスターといった有名なレーシング・ドライバーがALPINA車のステアリングを握ってきました。

1977年、ALPINA社は市販車開発に専念するため、モーター・レーシング活動を休止します。しかし、その不在期間はそれほど長引くことはありませんでした。わずか10年の後、モータースポーツ・シーンへの復活を熱望するファンやドライバーの声に応え、DTM (ドイツ・ツーリング・カー選手権) に登場します。

1987年と1988年には、エレン・ロール、創業者ブルカルトの息子であるアンドレアス・ボーフェンジーペン、ファビアン・ジロワ、ペーター・オーベルンドルファーとクリスチャン・ダナーが、BMW ALPINA M3グループAを操ってDTMで更なる成功を収めました。そして1988年、市販車の開発に注力することを決断したALPINAは、再びサーキットから姿を消しました。

2009

モータースポーツ・シーンへの復帰

2009年、ALPINA社は20年超のブランクを経て、新開発のBMW ALPINA B6 GT3で国際的なモーター・レーシングの舞台に返り咲きます。

今日、ヨーロッパではツーリング・カー・レース (GTシリーズ) に4つのカテゴリーがあります。トップ・カテゴリーのGT1は、純粋なレーシング・マシンとして開発されたプロトタイプ・カーで競うクラスです。そしてGT4は、改造範囲が狭く市販車に近いスポーツ・カーが参加します。その中でALPINA社は、セミプロ級のドライビング・スキルを持つドライバーから、快適なドライブを楽しむ紳士的なドライバーまで、幅広い層に訴求できるレーシング・カーを開発するという目的で、GT3カテゴリーを選びました。GT3カテゴリーの特徴は、市販車に近い外観を維持しつつ、ドライブ・コンポーネントなどのメカニズムは改造範囲が相当に広いことです。近年、GT3カテゴリーはとても人気があり、2009年のシーズンにはBMW、アウディ、ポルシェ、ランボルギーニ、アストンマーティンといった12社の著名なメーカーが各地のGT3シリーズに参戦しました。

ALPINA社のエンジニアは、ハイ・パフォーマンス・ロード・カーのBMW ALPINA B6 Sクーペをベース車に選び、ブッフローエのファクトリーで量産仕様車のポテンシャルを徹底的にリサーチした上で、BMW ALPINA B6 GT3を開発しました。2009年、B6 GT3の1号車が完成してホモロゲーションを取得した後、フランスの 「スポーツ・ガレージ」 チームが2台のB6 GT3をサーキットに持ち込んで、FIA GT3ヨーロッパ選手権、フランスのFFSA GTツアー、そしてスパ24時間レースに出場しました。

さらに2009年のALPINA社は、ファクトリー・チームでもFIA GT3ヨーロッパ選手権、ドイツのADAC GTマスターズ、ニュルブルクリンク24時間レースを含むVLN耐久シリーズなどに出場しました。

モーター・レーシングに復帰した初年度であることや、新開発のレーシング・カーでは避けられない初期トラブルに見舞われつつも、2009年のB6 GT3は多くの素晴らしい戦績を残しました。9回の予選1位、625kmに及ぶ決勝でのポール・ポジション、そして4度の優勝を飾っています。

2010

ワークス体制でカスタマー・チームをサポート

2010年のALPINA社は、ファクトリー・チームでのレース活動を行わず、その代わりにカスタマー・チームのサポートに専念します。

前年に続くフランスの 「スポーツ・ガレージ」 チームの他に、オーストリア・アルテンマルクトの 「エスバーグ・レーシング」 チームが新たにALPINAのカスタマー・チームとなりました。エスバーグ・チームとALPINA社は、FIA GT3ヨーロッパ選手権とADAC GTマスターズに出場し、GTマスターズでは表彰台を何度も獲得しました。さらにニュルブルクリンクでの週末には、2つのレースでダブル優勝を飾っています。

シーズンを終えたとき、ブッフローエのエンジニアは、BMW ALPINA B6 GT3のエンジン、トランスミッション、シャシー、そしてエアロダイナミクスを改良し、更なるポテンシャルの向上に挑みました。

2011

エングストラーがADAC GTマスターズのタイトルを獲得

2011年、ツーリング・カーのチャンピオン経験を持つフランツ・エングストラーが、自身のレーシング・チームであるリキモリ・チーム・エングストラーからのエントリーで、ブッフローエで仕立てられた2台の完璧なレーシング・カーをサーキットに持ち込みました。

復活祭の週末に開催されたシーズン開幕戦のオッシャースレーベンで、ドイツ・ヴィッゲンスバッハに本拠を置くリキモリ・チーム・エングストラーが予選のポール・ポジションを獲得し、第1レースの決勝では真っ先にゴールを駆け抜けます。これに続く第2レースも3位に入賞し、素晴らしい戦績でシーズンを迎えることができました。その後もBMW ALPINA B6 GT3の快進撃は止まらず、41号車のステアリングを握るアレクサンドロス・マルガリティスとディノ・ルナルディが同年のドライバーズ・チャンピオンを獲得しました。

2012

ALPINA社のワークス・チームが復活

2012年、ALPINA社はドライバー・タイトルの防衛に臨みます。ただしドライバーは、前年のタイトルを獲得したマルガリティスとルナルディのコンビではありません。この年、マルガリティスはメルセデスをドライブしています。代わりにADAC GTマスターズでBMW ALPINA B6 GT3のステアリングを任されたのはマキシム・マーティンで、ルナルディとコンビを組みます。

マーティンは、GT1世界選手権で幾度の勝利を収めたツーリング・カーのベテラン・ドライバーで、彼の速さには定評があります。しかも彼にとって、B6 GT3は初めてドライブするレーシング・カーではありません。2009年、クラウディア・ヒュルトゲンとともにADAC GTマスターズに出場し、オッシャースレーベンで連続優勝を達成しています。

ALPINA社のCEOであり、モータースポーツ部門を率いるアンドレアス・ボーフェンジーペンは、マキシム・マーティンのチーム加入をとても歓迎しました。何故ならマーティンの父親であるジャン=ミシェル・マーティンは、ベルギーのALPINAインポーターであり、ブッフローエの独創的な自動車メーカーとは深い縁があったからです。

2012年のシーズンに向けて、BMW ALPINA B6 GT3は入念にコンディションを整えました。シーズン・オフの期間中もマシン開発は続けられ、マクラーレン、アストンマーティン、シボレーなどが持ち込むニュー・マシンに対抗できる戦闘力を引き出すために、さまざまな改良が施されました。結果、2012年シーズンのALPINAは138ポイントで4位、マーティンとルナルディのドライバー・コンビも134ポイントで4位となりました。

2014

カスタマー・レーシング・チームの成功

ALPINA社のファクトリー・チームは参戦を見送りましたが、BMW ALPINA B6 GT3はカスタマー・チームによって出場を続けます。

チーム・トレヴァー・レーシングのエントリーで2台のB6 GT3がESET V4カップ (www.eset-v4.com) に出場。さらに、DMVツーリング・カー・カップ (www.dmv-tcc.com) にも2つのカスタマー・チームが参戦します。すべてのカスタマー・チームは、レース・エンジニアやメカニックによる技術的なサポートなど、ALPINA社の支援を受けます。この支援体制はシーズンを通じて提供されます。

2013年のDMVツーリング・カー・カップでチャンピオンを獲得したデューラー・モータースポーツ・チームは、スポーツ・ガレージ・チームが以前に使用したシャシーNo.2のB6 GT3をエントリーさせました。一方で、2013年に新しく組み上げられたシャシーNo.7のB6 GT3は、ドイツ・バーデン=ヴュルテンベルク州のカーチ・レーシング・チームに委ねられ、地元ドライバーのヘルマン・ウェイジャー (エスリンゲン出身)、ヤニック・トラウトワイン (シルタッハ出身)、そしてゲスト・ドライバーがステアリングを握ります。

カーチ・レーシング・チームのB6 GT3は、2013年のシーズンで既に何度か5位以内の実績があり、ディジョンの第2戦では総合優勝を収めています。そして2014年のシーズンも、素晴らしい活躍を見せました。9月5日~7日に開催されたDMVツーリング・カー・カップのディジョン戦で、アンドレアス・ボーフェンジーペンがゲスト・ドライバーとして出場し、見事にダブル優勝を飾りました。彼は2009年のニュルブルクリンク24時間レースで、最後にB6 GT3のステアリングを握った経験があります。この年、ヘルマン・ウェイジャーのチームは、シリーズ戦で3位にランクインしました。

今日もBMW ALPINA B6 GT3は、複数のカスタマー・チームからオファーを受けています。