アルピナの熱狂的なファン兼パートナー

ポートレート:ヴォルフガング・マウス氏

アルピナは創業以来、長期にわたりお客様との密接なつながりを大切にしています。今回はお客様の中でもアルピナとかなり特別な関係を構築しているヴォルフガング・マウス氏をポートレートでご紹介いたします。アルピナの初期の頃からのお客様で、ドライビングも存分に楽しむマウス氏とアルピナの間では、長年にわたり緊密なビジネス関係が築かれてきました。

"I could identify

with the ALPINA philosophy

right from the start.

The combination of

understatement and masterful engineering

is world class."

(翻訳)
「私は最初からアルピナの哲学に共感することができました。
控えめな表現と巧みなエンジニアリングの組み合わせは世界トップレベルです」

ヴォルフガング・マウス氏とアルピナ

ヴォルフガング・マウス氏は若い頃から自動車に対して熱い想いを抱いており、自宅のガレージで自身のNSU Quicklyやフォルクスワーゲンを数台プライベートにカスタムするほどでした。学生時代に購入したBMW 1600 tiでさえ、彼にとってはややパワフルさに欠けていました。「当初は時速200kmも出ませんでした。これは当時の『音速の壁』でした」とヴォルフガング・マウス氏は笑いながら話します。自分のクルマに合うパーツを探すなかで、アルゴイ地方にあるアルピナで求めていたものに出会い、そして彼は最初のお客様の一人となりました。それ以来、彼はアルピナ社と後にパートナーとなるブルカルト・ボーフェンジーペンに誠意をもって対応し続けてくださいました。最初は彼が所有するBMW 2002 ti用の補助パーツから始まり、その後は数多くのアルピナ車の購入を通じてアルピナにロイヤリティを示してくださいました。しかし、マウス氏は顧客としてだけでなく、ビジネスパートナーとしてもアルピナと関わりを持つことになりました。「実は、自分の趣味を雇用主と分かち合いながら自動車業界で働きたいとはあまり思っていませんでした」と工学部出身の彼は話します。働き出した当時、彼はシーメンスの社員として、特に原子炉の開発に取り組んでいました。同社で勤務している時にマウス氏は仕事で社用車を貸与されていたそうなのですが、そこで彼が選んだのはBMW ALPINA B7 Sでした。つまり、現在77歳の同氏がシーメンスに在籍していた頃には会社で最速の車を乗り回していたことになります。

長年にわたるパートナーシップ

やがて、彼は働くうちに起業したいと思うようになり、触媒用の金属ハニカム構造のメーカーであるEmitec社を立ち上げました。「私の最初の営業活動のひとつが、ブルカルト・ボーフェンジーペン氏を訪問することでした。当時B7に搭載されていた競合他社製の触媒コンバーターの耐久性がイマイチで、より優れたものを彼が求めていたからです」とマウス氏は当時を振り返ります。当時のブルカルト・ボーフェンジーペンは、自動車業界において強い信念を持って自動車に触媒を使用した最初の人物の一人でした。ヴォルフガング・マウス氏はその後、ドイツ北西部のノルトライン=ヴェストファーレン州の ローマルにあるEmitec本社で数台のB7プロトタイプの開発と試験に携わりました。「それはなかなかクレイジーな時間でした」と、この熱心なファンは今でも熱く語ります。触媒の耐久性は、Emitecだけでなくアルピナにとっても画期的なものでした。ここからボーフェンジーペン一族との長期にわたるビジネス関係が始まり、プライベートでも良好な関係が今日に至るまで続いています。ブルカルト・ボーフェンジーペンは、一緒に仕事をするときは常に高い要件を課すものの、多くのものを返してくれます。そんな彼について、長年のパートナーであるマウス氏は「技術の才に恵まれ、人間としても優れている」と評しています。

長年にわたる関係と豊富な話題

関係が長年にわたり続いていることから、ヴォルフガング・マウス氏は語りたい逸話に事欠かないそうです。飛行場で開催したレース、さまざまなテスト、膝を突き合わせての熱い対話、他社と競い合う中で採用されてきたトップレベルの革新技術など、その内容もさまざまです。彼はビジネスで良好な関係を維持し、素晴らしい思い出を積み重ねるだけでなく、現在はプライベートでも3台のALPINA車を所有しています。初代の「E-Kat」パイロット車両として製造番号1を冠するBMW ALPINA B8、BMW ALPINA B12 5.7、そしてBMW ALPINA B5 Sの3台です。マウス氏は普段の生活ではB5 Sを運転し、走行距離はすでに380,000kmに上っていますが、今でもその快適性とスポーティさに魅了されています。「私は最初からアルピナの哲学に共感することができました。控えめな表現と巧みなエンジニアリングの組み合わせは世界トップレベルです。私は、アルピナに息づいている「form follows function(形態は機能に従う)」という原則を普段でも実践するよう心がけています。アルピナ独自の堅牢性、そして一般の市場が提供するものの一段上を行く、総合的なパッケージのパワフルなクルマをこれまで提供し、これからも提供し続ける存在。それが私にとってのアルピナです。たとえば、製造番号1を冠するB5 Sよりも良いクルマはなかなか思い浮かびません」とマウス氏は熱く語ります。

アルピナ・グリーンのB12 – 宝くじに当たるレベルの希少さ

ただ、彼は自身が所有するB12にも強い愛着を持っています。これはアルピナ・グリーンの唯一のモデルで、インテリアもグリーンでまとめられ、製造番号は23です。彼はこのクルマを「宝くじ(ナンバーくじ)の6」と表現しており、これまで売却してくれるよう何度か申し出があったそうですが、ずっと断り続けています。彼はこれまでの長い年月でさまざまなBMW ALPINA車を所有してきました。現在は、子供の頃から楽しんできたスラローム・レースやBMW ALPINAモデルを駆るレースに参加することはなく、自身の「Gut Horst(カントリーハウスHorst)」で悠々自適の毎日を過ごしています。

ヴォルフガング・マウス氏は今でも自動車業界に真摯に向き合い、2010年からは技術、政治の両面で合成燃料の普及に取り組んできました。「私はここに未来があると考えています。アルピナがこれまで常に最先端を突き進んできたように、ドイツの産業も中国との今後の競争で対抗できるよう、もっと革新的にならなければなりません」。革新の精神で取り組みつつ、技術を極め、大きな注目を集めなくても迅速に行動していく姿勢がこれからいっそう重要になるでしょう。

 


*本記事は独アルピナ社(ALPINA Burkard Bovensiepen GmbH + Co. KG )発行のニュースレターの翻訳であり、日本市場と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。